2025/01/23 12:26
ジュエリーでCADはどういう風に使われているのか?
今回はCADデータ関してお話してみたいと思います。
CADは、ライノセラスや3デザインソフトで3Dデータを作り、造形機で樹脂にして、それを原型にしたり、ダイレクトに鋳造したりできる技術です。
使われ方は大きく二つに分かれ、
①デザイン画の変わりにCADで描いて顧客にみせる手段として
と
②職人がツールとして使用する
場合にわかれます。
何が異なるかというと、ちょっと触っただけでは、デザインを3Dでプレゼンする用にはデータを作れるけれども、商品として実現するにはつじつまがあってない部分があったりして実現しないという空想上のものを作る、という使い方と、それを原型にしたりして、製品として実物をつくるために細部までつくれるか、ということです。
わかりやすいのは、車のデザインを、3Dで作れる、というのと、
それを実際に走れる車にするために、機能性を考えてパーツにわけて作れるか、
みたいなことです。
私としては、デザイン画は手書きに慣れているので、職人ツールとして興味があり始めました。
昨年から研究している留めと爪の形状なども、CADを使えば細さや形状など細部まで工夫できます。
長年職人とのやりとりでデータチェックはしていましたが、昨年からいざCADで普通の石枠を作ろうと思っても、はて、石枠の角度はどのくらい絞るべきか、板厚はどのくらいにすべきか、爪は何ミリくらいの太さか、まぁ、悩ましいポイントが色々出てくるのです。
その後、造形機にかけてカタチを確認し、やれもう少し太くだ、やれもう少し華奢にだ、と何度も修正点がでてくるのです。
コレって、やはり慣れた職人だと仕上がりの計算ができるので、サクサクいくのだと思いますが、正直ここまで実際つくるのと、違うとは思いませんでした。
ですが、これまで職人に任せていた部分にも今一度踏み込んで、理想的なカタチを追求できるという点では階段を一つ登れたように感じています。
現在は、チェーンのリングを作り、耐久性と理想のデザインに向けてあれこれやっているのですが、なかなか理想の形にするには、試作をやり直してやり直して、またやり直して、です。なのですが、こういうリングの場合、サイズにあわせてコマの調整をして作れるところが手作りだとうまくいかなくいいところです。
やり始めて、初めて気づきますが、職人さんに、私のジュエリーが風合いがあっていいのでCADでなんか作るよりいい、と言われたことを思い出しました。CADでは、風合いを出す、というのは一番苦手な部分ではあります。
いろいろ作りたい私にとっては、CADでの正確さを活かせるデザインと、手でつくるからこそいいもの、どちらもいいとこどりでやりたいと思っています。